(5)いよいよ3歩目への助走?(1)    
 GX-S11とHR2650の組み合わせは実に感動的でした。
 それまでのカメラは、これに比べたら、まるで墨絵か文人画の世界でした。
 色は着いてはいましたが、とっても薄かったのです。しかし、今この画を見たからこそ、そう言えるのであって、見なければカラービデオなんて、こんなもんだろう、と気にしなかったのかも知れません。
 人間の目というのは不思議なもので、かなり細かいところまで識別できるにもかかわらず、直接比較しないと、脳が色や形を補正して見てしまうため、意外と画質や画調の差異が分からないものなのです。
 しかし、一度しっかり比較してしまった今、もう戻れません。
 こんなにも画質の差というものがあるのかと。
 その後、本来の仕事であるPAで、アマチュアのコンサートの模様を収録してみました。
 結果大好評(当時はオーディオカセット収録が主流)で、有料でもいいから、次のギグでは是非撮ってくれとの話しが続きました。

 ちょうどその頃、例の後輩がまたもや、遊びにきたのです。
 私は今度は幾分自信をもって、
 「どーだ、サチコンで業務用だー
 と言いたい気持をぐっとこらえて、
 「こんな感じになったんだけど、どう?」と、ひかえめに撮った画をみてもらったのです。
 すると、後輩は、「うーん、前よりは進歩はしたけど、随分と色がぶっちらかってるねー。やっぱり単管じゃこんなもんかなー?」
 「ぶっちらかっている」とは、赤い色がはみでたり、全体に色が着きすぎて、色と色の境目が濁ってしまい、全体として、汚れた印象になってしまうことを言っているのでした。
 
   私はそう言われてみて、もう一度よーく観察したのですが、たしかに前カメラよりはごちゃっごちゃした感じもないでは無いが、やはり色は濃いほうが奇麗でしたから、いまいち納得できませんでした。
 そして、今度は3管カメラについていろいろと、レクチャーが始まりましたが、だいたいカメラに100万円もかける人種は異常だくらいに思っておりましたし、こんだけ奇麗に出るようになったのに、そんな必要性は無いのでは?と聞き流していたのです。
 しかし数日後、ビデオサロン誌の通販広告で「わりいし」というところで、今度は、業務用のGX-S11である、GX-S700というものがあることを知り、2カメで撮影したいと思っていたところなので、早速注文し、通販の利用は初めてでしたから、直接取り引きよろしく、浦和の事務所兼アパートみたいなところまで買いに行ってきたのです。
 そして、そこで、社長さんといろいろ話ししていると、3管カメラも近々入荷の予定とのこと、しかも40万円ぐらいで出せるとの話しに、それも注文してしまいました。
 BY-110というビクターのカメラでした。コンサートの撮影にいずれは3カメでと考えておりましたから、100万円以上かかると覚悟していたところに、40万で3管式カメラが買えるというのですから、「やったー」と思い、これで、ついに例の後輩に自信をもってみせびらかせる?とすぐさま決断してしまったのです。


↑、BYー110  
    (6)3歩目への助走?(2)続き。